ファスティング(断食)は、一定時間固形物の摂取を控えることで消化器官を休ませ、代謝・ホルモンバランス・細胞の再生プロセスを整える健康法です。減量目的として語られることが多いものの、本質は「体の回復力を取り戻すための生理学的なアプローチ」です。
本記事は、栄養士としてアスリートの食事管理・代謝調整に長年携わり、ボーンブロス(BONEZ)や冷凍ミールキット(ONKIT)の開発に従事してきた筆者が、科学的根拠に基づき正しく理解できるよう体系的に解説します。
1. ファスティングの歴史と背景
ファスティングは最新の健康法ではありません。世界各地で数千年にわたり実施されてきた文化的・医療的な習慣です。
- 宗教的断食:イスラム教のラマダン、キリスト教のレントなど
- 古代医学:ヒポクラテスが治療法として断食を推奨
- 近代自然療法:19〜20世紀のヨーロッパで体系化
現代に入り「食べ過ぎと活動不足」が慢性化したことで、体を一度リセットする健康法として再評価が進みました。
2. ファスティング中に起こる科学的変化
● (1) オートファジーの活性化
オートファジーは「細胞の自己浄化システム」。不要なタンパク質や老廃物を分解し、新しい細胞へ入れ替える働きです。2016年に吉森保教授の研究がノーベル賞対象となり、断食と細胞再生の関係が広く知られるようになりました。
● (2) インスリン感受性の改善
断食により食後血糖値の乱高下が少なくなり、インスリン抵抗性の改善に寄与する研究報告があります(IF研究より)。
● (3) 消化器官の休息
胃腸は一日中働いています。食事間隔を延ばすことで腸の負担が減り、腸内細菌バランスが整いやすくなります。
● (4) 軽度の炎症反応の低下
断食期間を設けることで慢性的炎症マーカーが低下する傾向が報告されています。
3. ファスティングの主な種類

● 16時間断食(Intermittent Fasting 16/8)
1日の16時間を無摂食時間にする方法。生活リズムに取り入れやすく、科学的なデータも多い。
● 24時間断食
週1回、1日断食を行う方法。ややハードだが一定の効果が見込まれる。
● 48〜72時間断食
細胞再生を目的に専門家の指導下で行われる方法。一般の人が独自に行うべきではありません。
4. 安全に行うための注意事項
ファスティングは正しい方法で行えば安全ですが、以下に該当する方は実施を避けるか、必ず医師に相談してください。
- 妊娠中・授乳中の方
- 成長期の子ども
- 糖尿病・代謝疾患のある方
- 摂食障害(過去含む)の既往がある方
- 薬を常用している方(糖尿病薬・血糖調整薬など)
体調に不安がある場合は無理に行わず、医療従事者へ相談することが推奨されます。
5. ファスティング中に何を飲むべきか
断食中は水・白湯が基本です。以下は「消化を妨げない範囲で許容されるもの」です。
- 水・白湯
- 無糖のお茶
- ブラックコーヒー
- ボーンブロス(低脂質・無添加のもの)

ボーンブロスはアミノ酸・ミネラルが自然な形で摂れ、胃腸に負担をかけないため世界で断食サポートとしてよく利用されます。
16時間断食との相性について詳しくはこちら:
ボーンブロスと16時間断食|ファスティングを無理なく続けるための最適な選択
● 酵素ドリンクはどうか?
酵素ドリンクは製品によって糖質量に差があり、空腹時の血糖値変動が大きくなる可能性があります。成分表示を確認し、糖質量が高いものは断食中の摂取には適さない場合があります。
詳しい考察はこちら:
なぜ人々は空腹時に血糖値を上げてしまう酵素ドリンクを飲むのか
6. 現代人にファスティングが必要とされる理由
忙しい現代生活では、以下のような要因で消化器官・代謝に負荷がかかります。
- 1日5〜6回の食事・間食
- 糖質・脂質の過剰摂取
- 加工食品の増加
- 睡眠不足・ストレス
ファスティングは「消化活動を休ませる時間」を取り戻し、体の調整力が働きやすい環境を整えます。
フレンチの技法で磨き上げたボーンブロススープBONEZ(ボーンズ)でもファスティングを是非一度お試しください。
まとめ
ファスティングは、科学的根拠に基づき、正しい方法で行えば体の本来の働きを取り戻す有効な手段です。次の記事では、具体的な正しいやり方(準備期・実践期・回復期)について詳しく解説します。

